2017/09/28

ヴィンテージ家具って何だ?の話。

ますます忙しくなってきました。
オーダーメイド、修理、どちらも溢れてきたけど忙しいとまだまだやれる気がする。

というわけで修理もオーダーもいつも通りやりますのでご相談下さいませ。









































チェアのガタツキ修理ご依頼。
元々はかなり古いモノっぽい。張り方や使っている素材で年代がおおよそ分かります。

手を入れてヴィンテージとして販売されてたみたい。from Texas。
直し方がなかなかワイルド。そのへんもUSモノっぽい。
可愛い椅子です。生地も良い。




ヴィンテージとかアンティーク、ラスティックやインダストリについてまた長々と書きます。
今回は少しは纏められる気がする。



今日ご来店くださったお客様、ベンチを探しておられるとの事。

お話を聞いてみるとどうやらヴィンテージっぽい感じを探しておられる。

ヴィンテージ風にも造れるしそういった雰囲気のメーカー品もあるのでご紹介。

「これは新品でしょ? もっと雰囲気のあるのが欲しい。ヴィンテージなら安いでしょ?」

何とも言えなくなる。 
本当はこうやって書いている内容をゆっくりお話ししたいけども長くなる、とても。

今流行りのあの感じ。 インダストリアル、カリフォルニア風、男前家具、みたいなの。
これがもの凄く難しいんです、説明するのが。


こういうの。ガサっとした木部と鉄、アイアンとかの組み合わせ、みたいなのが多い。

















話があっちこっち行きますがインテリアには流行があります。

一昔前は重厚で重たい、色の濃い家具が主流でした。僕らのおばあちゃん世代くらい。
もっと前になると和家具になりますね。
バブル期になって無機質なスッキリした家具が流行り、
その後に北欧家具のナチュラルですっきりした家具が大半になり、
今に至る。 超ザックリ。

綺麗なスッキリした家具が主流になってもう長い。
そこで出てきたのが今流行りのこの感じ。 ザラついた感じ。

アンティークやヴィンテージの流れを組んでいるんだけど
そこからまず 「そもそもアンティーク、ヴィンテージってなんすか?」 に戻る。

これはフランスのアンティークモノ(画像検索で借用)
何十年も前の家具です。



 これは北欧のヴィンテージモノ。これも古いもの。 当然高いです。

























これはうちでリメイクして販売した国産メーカーの30年前くらいの。
修理して綺麗にして販売しました。








































ヴィンテージとアンティーク、明確な違いはない。
そもそもちゃんと定義されてもいないからジャンル分けも自由。

本来ならアンティークって100年以上前のモノでないとそうは呼ばない。
つまりメーカー品(量産された家具)は全部当てはまらない事になる。
工芸品や骨董、美術品に近い。 当然値段はとんでもなく高いです。

そういう意味では世に出回っている古い家具はほぼ全部ヴィンテージ家具。
本当の意味でのアンティークなんてないんです。
ヴィンテージはもうあれです、古いならどんな家具でもとりあえず全部含みます。


ヴィンテージ家具の良さって何でしょうか?

それが 『雰囲気』 だと思うんです。たぶん。纏めると。
新品にはない雰囲気、使ってるうちに付いたキズとか諸々が醸しだし雰囲気。

雰囲気があればOK。 それがアンティーク風とかヴィンテージ感


問題は

①元々質の良い家具を長く使って雰囲気が出たヴィンテージ

②元々は安い家具だけど使っていて良い感じになったヴィンテージ

③質の良い家具をヴィンテージ風に加工した新品

④質の良くない家具をヴィンテージ風に加工した新品


これがごっちゃになってることなんです。

①と③は値段もそこそこします。 ③なんかはむしろ普通に綺麗に造るより高くなる。
②は場合によります。修理するなら高いし。
④はめっちゃ安いです。

デニムのジーンズに例えようと思ったら前にも同じような事書いてた。

『西海岸風家具、インダストリアル家具について思う事。 』
http://yanagi-woodworks.blogspot.jp/2016/06/blog-post.html


ナチュラルでスッキリした家具、重厚で重たい家具、
これはどちらも素材の良さや品質がそのまま見た目にも出ます。
なので安い素材で良いモノは作れません。

ヴィンテージは見た目が全て。
そうなるとむしろ④みたいなのは安い素材の方が似せやすい。
良い木材を使うとむしろ綺麗に出来過ぎてガサついた感じがなくなる。
杉やパインなどで造っている④の家具が山の様に溢れています。


『ヴィンテージっぽいの欲しい』 と言われてもその方にとってどれを指すのかが分からない。





この2つのチェア。見た目でもう分かるけども、左は50年前くらいのヴィンテージ。
これは何十年も前、新品の時も高いし古くなった今も高いです。
右はそれ風に新しく造ったやつ。¥6,000 中国製。

左のはオーク材で品質も良い。だから50年経ってこの雰囲気になる。
質が良い=長持ちする=その分だけ風合いが出る。
右のはパイン材。 おそらく普通に使ってたら2年くらいで壊れるような椅子。

でもどっちにも 『ヴィンテージ』 
右を50年前の椅子です、って言うてもバレないのかもしれない。


分からないのは仕方ない。 。

こんなもんを売ってる人、造らせる人、造る人が悪い。

造る人が一番知ってます。 酷い質の材料使ってる事も長持ちしない事も
ヴィンテージぽさ、で逃げられるから酷い造り方しているのも。


そんな事してるからいつまでたっても家具はこんな状況です。
ゴミみたいな家具を『ヴィンテージの風合い!』 って宣伝したら売れる。
結果粗悪だからすぐ壊れる。 でも安いから直したりはしない。使い捨て。
良いモノを長く、の精神から一番遠い。
ニ○リさんやイ○アさんのような海外量産家具よりもずっとずっとたちが悪い。
ジャーナルがやってる家具とかね、酷いっすよ、ほんとに。




長く使って良い感じに育ったその風合いに価値があるとする。
なら本質はどこにあるのか。

ヴィンテージかインダストリアルか知らんけども
質の良いモノを長く使う、それがあっての事。
なのに粗悪なモノが取って変わるなら本末転倒。


今の流行りの雰囲気、否定しないし僕も好きです。

どれを選ぼうが自由。 高い家具が良い家具ではないです。

分かってて④の家具を選ぶよ、って事ならそれもOK。

『あなたにとって良い家具って何ですか?』 ってことです。

それを決めて貰う為には家具屋がもっと頑張って説明しないとダメでしょ。
家具屋がしないと誰も出来ないんだから。


オーダーメイドで新しいのも造る。
修理でヴィンテージもメーカー品も触る。
リメイクした家具をなるべく安価で出す。
国産のメーカー品の仕入れもする。

そんなややこしい事をしているせいで日々悩み続けています。
古いのが欲しいならオーダーで新品造りましょうよ! ってよく分からん堂々巡りになったり。

けど色んな方向で考える事ができるおかげで真摯に家具と向き合っている自負だけはあります。


忙しい時に限ってこういうこと書きたくなるのもいつもの事。
今日もまだやる。眠たい。



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