2014/11/29

修理とブックエンド。職人の話。

お店のカウンターチェア&ベンチの張り替え。
三日市のイタリア料理屋さん。今咲暮さん。

ストライプの綺麗な柄で張り替えました。
定休日の1日で全部一気に仕上げて翌日朝イチで納品。

店舗用の張り替え、オーダーもやっております。ご相談下さい。



























ブックエンドを作りたかったので試作品を作ってみた。
照明、抽斗収納とブックエンド。
木の種類とか塗装の色を変えれば全然違う風合いにもできます。
古臭くてザラッとした感じは僕の好み。
展示してます。































 
リメイクのダイニングセットも修理完了。天板の色だけもういっかいやり直し。
箪笥を直したり、色々とごそごそやってます。
来月は割と暇そうなのです。困った困った。
 


 
またややこしい話を1つ。
 
この前、テレビを見てたら
「和風総本家」 のスペシャル版で大阪の職人特集をやってた。
東大阪、南大阪がいっぱい出てきましたぜ。
 
職人の仕事風景は業種を問わず興味深い。
仏壇作る職人とか、包丁作る職人とか。面白い。
 
「職人の技」 とか「日本伝統の技法」とか、
そういう伝統と技術に対する誇り、憧れ、尊敬みたいなのって皆あると思う。
世界に誇る!日本の技術!みたいなの。
良いモノは良い!的なの。
 
一方で若い職人が育たない、技術や伝統が継承されない、っていう問題がある。
こういう番組見てても若い職人はほとんど出てこない。おじいちゃんおばあちゃんばっかり。
勿体ない!って思うでしょ? 世界に誇れる日本の文化が失われる!
 
なんで若い職人がいないのか。
 
 
昔ながらのハリケーンランプを復刻させて作っておられる方が紹介されてました。
若い女性の方。めっちゃカッコイイ。http://www.lanterns.jp/wingedwheel/index.php
 
欲しいやないですか!ハリケーンランプ。
んで調べた。どこで変えるんやろ、幾らなんやろ、って。検索検索。
今見たらsold outになってたけど、8000円くらいでした。一個。安い!
 
他のページもチラチラみてみると、
海外のとか、国産でもメーカーのだと一個5000円くらいで売ってる。
ふむ。そりゃ量産になれば安くなるわな。
そしたらカインズホームで一個500円ってのが出てきた。
実物見てないから何とも言えんけど、写真だと違いはよく分からない。
 
どちらを買いますか?
 
番組を見たから、僕は手作りのが欲しくなったけど、
若い子が伝統を受け継いで1つ1つ手作りで作ってるよ!って知らない状態なら
500円のを買うと思う。
 
職人が手作りで作ってる堺の包丁も出てきた。
一本数千円。ホームセンターやら通販なら数百円。
どっちを買う?
 
職人が1つ1つ作ったモノ。
憧れるし欲しい。
でもそこら中に見た目は似たようなモノが安価で溢れている時代。
しかも安くて品質だってそこまで悪くない時代。
 
偉そうに言っても僕だって安い方が好き。
自分がモノ作りをしててもそう。仕方ない。
 
仕方ないけど理解はしてるつもり。
 
 
売れないから、仕事が無いから、職人はいなくなります。
いくら誇りに思っていても、職人から仕事を奪っているのは我々。
 
 
技術を持ってる職人さんでも仕事がない現実。
町工場は今でもどんどん潰れてます。
 
職人になりたい人は多いと思う。業種問わず。
 
仕事があふれる程あるならどこの工場も若い子を入れる。
職人を目指してなくても、そこで何十年と働いたら勝手に職人になるし、
最初から職人になりたい!って若い子も多い。
 
工場は仕事がないから雇わない、雇えない。
給料安くてもいいよ!って思っても、将来その仕事で食っていけるのか、先が見えない。
 
だから若い職人がいない。
 
 
 
量産品が悪だとは思わない。
 
ホームセンターでカラーボックスが数百円で売ってる。
ベニア1枚買うだけでも数百円。
というか、ベニア1枚の送料、買いに行くガソリン代で数百円。
それをカットして加工して組み立てて塗装して、海外から日本に運んできて、
それでも数百円。
凄くないですか、いくら量産と言っても。企業努力。頑張り過ぎでしょ!
 
 
職人凄い! 誇れ日本の伝統! 
 
でも実際買うなら安くて高品質なのが良いよね。
 
相容れない。
 
 
レトロなモノとか、アンティーク、骨董。
古いから趣があるのかと言うと、半分正解。半分は関係ない。
1つ1つ作れば自ずと風合いや趣は出てくる。
 
量産が難しい時代だったから手作りのモノがたくさんあった。
1つ1つ微妙に違いがあって、風合いがあって。
高級品ではなくとも、安くはなかったはずだけど。
 
 
そこからさらに安くするには、均一化して平均化して、とにかくたくさん作ってたくさん売るしかない。
同じようなモノばかりなるけど、安くなる。
それが面白くないからレトロなモノが良くみえる。
 
全部を全部、良いモノは無理だけど、大事なモノだけは良いモノを。
そうやって選んでいきたい。
そうやって選んで貰えていると思って、造ります。直します。
 
ええ話に纏まった感!
 
 
「きのこ帝国」 にど嵌り中。
 

 
 
 

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2014/11/15

リメイクとオーダー、本。

レコードラックを作らせて頂いた際に不要だという事で頂いたソファ。

可愛い形なので張り直してリメイク。良い色。
昨日から出してます。
張り替え工賃と生地代のみなので¥20,000(税別)

ってのを昨日Facebookで書いたら今日売約済になりました。
売れるのはほんとにすぐ売れる。ありがとうございます!










































































オーダーの座卓も完成。
楢材。オーク。
甘削りでオイル塗装。






































インテリア雑誌で一番好きなのは断トツでconfort (コンフォルト)です。
真面目です。ちゃんとしてる。
雰囲気だけ、質や内容を問わず、見た目だけの残念な雑誌が多い中、
細かくいろいろ載っていて勉強になる。

今月は「日本のスタンダードチェアを探せ」
http://confort.ksknet.co.jp/

色んなメーカーの椅子が載ってます。
「良い椅子が欲しいな」 と思った時にこういう本があれば助かると思う。

あ!ここに載ってる椅子、取扱いのある椅子もたくさんあります。
ついでにこの雑誌はめっぽう高いので、お店来て読んで下さい。
バックナンバーも山ほどあります。

安い椅子と高い椅子の何が違うのか、よく分かる。

5軸NCルーターで削って綺麗な曲線を出して行く作業。
NCルーターっていうのは↓こういうのです。


プログラミングして、機械で削っていく。この機械だけで○千万とかするらしい。
こういう作業を手でやったら、できなくはないんだろうけど、値段もきっと数倍になります。
これを手でやると完成する家具は作品に近い。
同じものを同じ品質でたくさんは造れない。メーカーにしかできない事。

だから僕はここでしか作れないモノをなるべく造ろうと思ってます。
修理やリメイクもその1つ。


この前書いてた、高尾長良 『影嬪』を読んだ。
一昨年の新潮新人賞受賞した『肉骨茶』 が好きだったんで楽しみしてたら、びっくりした。

前作の書き出し。

今作の書き出し。
 『日本書紀に描かれた伝説の悲恋が、 一三〇〇年の時を経て、再生する。
  日本語の古層から立ち上がる想像力。 精神と皮膚を焦がす憎愛の熱量。
  新潮新人賞最年少受賞者の飛翔作!』

高尾さんはまだ22歳。小説家としてもまだ2作目。

そもそもこれは日本書紀にある影嬪の物語を新訳したわけじゃなくて、
土台になるストーリを踏まえて、新しく作ってるわけです。スピンオフ的な。同人誌的な。

語り口とか時代背景とか、専門家が読んだらどう思うのか分からんけども、
凄い。なんでそんな事ができるのか。やろうと思うのか。
物部麁鹿火の娘、影嬪。 司毘(平群鮪)、太子(武烈天皇)などが出てくるわけですが、
なんか分からんけど凄い。

そういや前作の赤猪子も古事記の引田部赤猪子から取ってるんだった。

不思議な作家さんやと思う。
物語・ストーリーではなく、文章のつくりだけで他との違いをここまで産み出せるって凄い。

芥川賞候補になった時の選評
 
 
 「装飾的な文章のつくり(おそらくわざとやっていると思われるのですが)が、
  効果をあげていなかったように思います。」

これに対して真向から反発してるようにも思えた。

だったら装飾的な文章のつくりだけで勝負してやるわ、みたいな。

またまた次回作が楽しみな作家が増えて嬉しいぞ。



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2014/11/10

サイドテーブル作った。

またまた随分サボってしまったblog。

ボチボチとやっております。
いつの間にか2周年を迎えてました。
相変わらずやりたい事はたくさんあるのになかなか進まないけど、
修理やオーダー、ボチボチとご依頼頂いて何とかやっています。

3年目もこんな調子で行こうと思います。

えー、久しぶりに展示用のサンプルを作りました。
サイドテーブル。
雑誌やらコーヒーやらスマホ、リモコンとか、色々置けるようなヤツを。

昔、雑誌かネットで見たアンティークの家具にこんな感じのがあって
気に入ってたんだけど何で見たか思い出せないからイメージだけで再現。

色とか材種、サイズは変更できます。
これはタモ材。少しだけ着色してます。

作ってから \(^0^)/  ←これっぽいな、と気付いた。オワタ。











































ソファの張り替えも完了。

マルニの3人掛けと1人掛け。
柄物の渋い生地に変更。

こういう規則的な柄物やストライプなんかはボタンで絞ったりすると綺麗に見えない。
なのでボタンや絞りは無くして、ウレタン交換して綺麗に。

ちょっとでもズレると目立つからこういう柄は大変。職人技です。流石。










































さぁ雑記。

サッカーはいつも通りながら、アメフト熱が続いております。
どっちかというとアメフトの方が見る数も多くなって、雑誌も買おうか悩む位。

結果、家に帰ると息子は寝てるので、ご飯食べて風呂入って、
シーズン中は野球見て、サッカーを見て、アメフトを見て。

あ、これはもしかして

『家帰ってきたらずっとテレビの前に居座ってスポーツを見続けるおやじ』

ステレオタイプなおじさん像そのままやないか。

そうなるとお酒が飲めないのは良かったのかもしれない。
飲めたらビール片手にソファでゴロゴロ深夜までアメフト見てるおじさん。

恐ろしい。

冬は縁側でコーヒー飲みつつ本を読むのが似合うようなメガネでガリガリのおじさん。
そんな大人を夢見ていたのに家具造るせいでムキムキになってきました。
ついでに脂肪も付いてきたし、おかしい。こんなはずではない。

ムキムキ小太りでアメフトと文学とロックが好き。
なんか違う。全然違う。やっぱ痩せねば。


そうだそうだ。くるりの岸田繁とnoteの加藤さんの対談が面白かった。
http://www.cinra.net/interview/201410-qurulinote

レコード会社を通さずに各々がこうやって音源を売って情報を管理して行く。

noteは凄く面白いと思う。音楽に限らず小説とかイラストとか写真とか。
デジタルに変換できるモノを売る人にとっては画期的。

売る側にとってはメリットも多くて魅力的なんだけど、
今のところ何も売らない人にはそんなに面白さが見えないSNSなのが難しい所。
結局人口が多くないと売る方のメリットも無くなるし、FBとかtwitterくらい浸透したらいいんだけど、
はてさて、どうなるでしょうか。

nine black alpsがひっそり出してたアルバムが超良いです。
エモくてちょっと暗いギターロックがDNAレベルで好き。
変なタイトル。


The Pearlfishersも新譜出してたみたい。
うむ。相変わらず。最高。



なんでか分からんけど去年の芥川賞予想の記事にアクセスがいっぱい来てました。

今年もそろそろ絞っていかねば。

新潮新人賞を取った 高橋弘希 『指の骨』 は候補には入ると思う。
もしかしたら取るかもしれない。戦争文学です。
オルタナやってるバンドマンが書いてるらしい。
戦争体験の無い若者がこれを書いた事に云々、、リアリティ云々という書評が多い。

文学畑どうこうを抜きにすると南洋を舞台にした戦争物で最高峰は
古処誠二 『ルール』だと思ってます。強烈。

 
まだ読めてないけど今月の新潮、新人賞を最年少で取った高尾長良が受賞後初の掲載。
『肉骨茶』が好きだったので楽しみ。これも候補入って欲しいな。まだ読んでないけど。

前に西村文学の楽しみ方について書いたんだけど、
http://yanagi-woodworks.blogspot.jp/2013/09/blog-post_20.html
先月の文芸誌短編でとうとう作中の北町貫太はテレビ出演してグズグズ言うておりますよ。


あと、池澤夏樹編集の日本文学全集、第1弾が発売されました。
一発目は池澤さん訳の古事記。
メンツと作品と、すごく魅力的です。http://www.kawade.co.jp/nihon_bungaku_zenshu/
集めたい。 

けども!装丁があんまり好きではないのだよ。
綺麗やけどさ、全集らしくないから本棚映えしないよね。まぁいいんだけど。


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